「はぁ?」
「俺だって…
俺だって、今にうさぎの夢に登場してやンだからな!」
「…
おまえ、ナニ言ってンの?」
呆れたように眉尻を下げた黒曜から目を逸らした景時は、俯いて握りしめた自分の拳を見た。
「…
寝言で言ってた。
『くよ』って。
アンタ、『こくよう』っていうンだろ?」
「‥‥‥‥‥紅玉が?」
「でも、そんなんで勝ったと思うなよ!
俺も負けたなんて思っちゃ…
…ハイ?」
景時が勢いよく顔を上げると、黒曜は表情を消していた。
うさぎのものとは少し違う、躰中を突き刺す、刃物のように研ぎ澄まされた鬼気を感じる。
よくわからないが、本気にさせたか?
(…望むところだ。)
景時は甘く整った顔を歪ませながらも、ブレザーの内ポケットに忍ばせたバジュラに手を伸ばした。



