赤い月 肆


景時はうさぎを抱きしめた。

絞め殺すほどの強さで。


「ヨリ戻そうって言われたの?

アイツのトコ、行くの?」


白い首筋に唇をつけながら、低く囁く。

もしも、うさぎがアイツの元に戻ると言うのなら。
もしも、俺の傍を離れると言うのなら。

どうしても、止められないのなら…


(うさぎを‥‥‥‥‥)


誰にも渡したくない。

このまま俺一人のものに。

逆に殺されても構わない。

他の男の元に行く姿を見なくてすむのだから、それはそれで結果オーライ。

君の愛が得られないのなら、せめてその命をくれよ。

もしくは命を奪ってくれよ…

黒く狂暴な衝動に支配されたまま、景時は彼女の首に歯を立てて吸い付いた。