アイツがうさぎに手を差し伸べている。

うさぎがその手を取ろうとしている。

間に合う…

坊っちゃんばりの二階からダイブを披露して追いついた景時が、うさぎの細い腕を掴んだ。


「うさぎ!」


「…景時?」


振り向いたうさぎが、目を見開く。

うさぎから視線を移したあの男も、無表情にこちらを見ている。

あー…
ほんとお似合い。

なんとなく雰囲気も似通ってるし。

本来の姿に戻れば、きっと、もっと、絵になるだろう。

でも、そんなコト関係ねーよ。
知ったこっちゃねーよ。

景時は息を整えて、うさぎの大きな澄んだ瞳を見つめた。


「行くな。」