「浄化!」


『闇』が消え、静かな春の夜が戻る。

脱け殻となった犬の死骸を見下ろした景時は、腕に出来た裂傷を押さえた。

流血も少ないし、ほっとけば治るようなかすり傷だ。

だが、ここ最近狩りが粗くなっている。

景時は、それを痛いほど自覚していた。

チカラが低下しているわけではない。
かなり睡眠不足だが、体調は悪くない。

精神が乱れる原因は、たった一つ…


(俺、メンタル弱すぎ…)


景時は赤く染めた長めの猫毛を掻き上げて、溜め息を吐いた。