赤い月 肆


「うさぎちゃんは妬いたりしないの?
フツーでショ?」


「妬く、妬く。
フツー妬く。」


カップを手に取ってストローを刺しながら言った小鞠の言葉に、祥子がグロスで光る唇を尖らせて大きく頷く。


「祥子、小鞠。
人は一人では成長せぬ。
生きてゆく中で関わった者らが、人を創ってゆくのじゃ。」


うさぎはまるで母親のように慈愛に満ちた微笑みを、二人に向けた。

女子二人どころか野郎二人まで女神の笑みに引き込まれ、彼女の言葉の続きを息を潜めて待っている。


「男を愛するならば、その者の過去も同じように愛してやるが良い。
男が愛した者も、同じように愛してやるが良い。
愛する事は信じる事。
疑えば、愛を見失うぞ。」