赤い月 肆


ますます眉間の皺を深くする深雪の頭に、景時は軽く手を置いた。


「こんなカッコイー景時くんが片思いとか、あり得なーい☆ってカンジ?」


「…」


「ハハ。
んなワケねーか。
ごめんね? 深雪さん。
俺、行くわ。」


「どうして?
あのコも言ってたじゃない。
もう少し話そ?」


深雪が強めに腕を引く。

景時は苦笑しながら腕に絡む彼女の手を握り、そっと下に降ろさせた。


「俺、うさぎと離れてたくねぇンだ。
永遠の片思いでも、傍にいたいの。
だから、行くわ。
またね? 深雪さん。」


景時はもう一度深雪の頭に手を置いてから、彼女に背を向けた。

行かなくちゃ。
うさぎの元へ。

胸が張り裂けそうでも。