気がかりそうにこちらを振り返る薫たちの元へ歩み寄るうさぎの背中から目を逸らした景時は、赤い髪がクシャクシャになるほど頭を掻き回し、深い溜め息を吐いた。 「スゴい美人… あのコがカノジョなの?」 「… あー… 違うの。 見りゃわかるでショ?」 目を丸くして景時を見上げる深雪に、彼は力なく微笑んだ。 いつも彼が見せる、人の心を溶かす甘い笑顔ではない。 苦く切ない、大人の男の顔。 深雪は眉を顰めた。 「俺が、好きなだけ。 一方的に。」 「まさか… 片思いなの? 景時くんが?」