赤い月 肆


ナゼか赤くなった顔を歪めて叫び出した黒曜が、驚くうさぎを抱き上げた。


「もうっっ! わかったから!
俺も一緒に行くからっ!
そんな顔で見ンなって!!」


「え?
良いのか?」


「別に?
アイツが嫌いなワケじゃナイし?
俺はおまえが心配なダケだし?
俺が一緒に行きゃ、問題解決だろーがよ。
そーだろ、俺?!
コレでイインだろ?!俺??!!」




誰に何を問いかけて、誰に何を納得させてンの?

喜びに輝くうさぎの顔を、真っ赤な、だが複雑な表情で見る黒曜に、薫は同情した。

『そんな顔で見ンな』の『そんな顔』、たぶん見たコトある。

アレやられちゃ、たまんねーわな。

そりゃ、誰だって勝てねーわ。


「いっつもあんなん。
黒曜、カワイソすぎて笑えるやろ。」


ニヒヒ、と笑いながら、白蛇が薫に耳打ちする。

男の立場としては全くもって笑えないが、景時救出に向かってもらえそうなので、まぁ…

良しとしよう。