うさぎはなんとか身体を半回転させ、かなり高い位置にある黒曜の顔を見上げる。
「黒曜…」
「…
なんだ。」
「確かに景時は軽率であった。
だがあの者は、妾の為に単身敵地に向かったのじゃ。
妾には、そのような阿呆を放っておく事など出来ぬ。」
「…
だから、もう手遅れだって」
うさぎは黒曜の言葉を遮るように、強く首を左右に振った。
自分を包む腕をギュっと握りしめ、もう一度黒曜の瞳を覗き込む。
「景時は簡単にくたばるような男ではない。
きっと、生きておる。」
「…
死んでるって…
そんな顔すんなよ。」
「生きておる…
きっと…
行かせてくれ、黒曜…」
「…
…
…
あ────────っっ!!」



