赤い月 肆


コレ…
ヤバいンじゃない?

景時は放置されたまま、うさぎをお持ち帰りされちゃうンじゃない?


(とりあえず俺だけでも、あのバカ助けに行かなきゃ。)


なんか、人間じゃ敵わないらしいケド。

運良く生き残れたら、うさぎのコトは後で考えればいい。

薫は覚悟を決めて、身体を押さえつける白蛇をチラリと見た。

だが、白蛇はまだニヤニヤ笑っていた。

どけ、と目で合図する薫の視線に気づき、桜色の唇が声もなく動く。

『ここから』と…

ここから?

どーなるっての?
もう時間ねーンだケド?!

焦る薫が白蛇の下でモゾモゾ動きだそうとした時、黒曜の腕の中のうさぎも同じくモゾモゾしていた。