そんなヤバいのが相手なら、なおさら早く行ってやんなきゃ。
「うさ
むぐっ」
蒼白になって言葉を紡ごうとした薫の口を、白蛇の手が塞いだ。
暴れる巨体をいとも簡単に押さえつけ、薫の耳元で色っぽく囁く。
「黙っとき。
おもろいモン見れンで。」
「む?」
(おもしろがってる場合じゃねーンだケド?)
釈然としないまま、それでも薫は暴れるのをやめて二人の鬼神を見上げた。
「は… 放せ、黒曜。
そもそも、何故そなたが此処におるのじゃ?」
うさぎは渾身の力でもがいているようだが、黒曜はビクともしない。
同じ鬼神とはいえ、力の差があるのだろう。



