黒曜がうさぎに視線を落としたため、薫が必死で笑いを堪えていることはバレなかったようだ。
一安心。
「そんな身体でどこへ行く気だ?
帰るぞ。」
「帰らぬ。
妾は、景時を助けに」
「もう死んでいる。」
腕の中で身を捩るうさぎの言葉を、黒曜のハスキーな声が遮った。
その残酷な内容に、動きを止めたうさぎがギュっと目を閉じ、薫は眉間に深い皺を刻んだ。
「どーゆーコトだ?」
「そーゆーコトだ。
呪を仕込んだのは付喪神(ツクモガミ)だ。
鬼神にケンカを売るとは身の程知らずのペーペーだろうが、神は神。
人が敵うはずがない。」
掠れた薫の問いに黒曜が出した答えは、さらに残酷な事実。
白蛇がうさぎを境内に投げ出す前にはぐらかしたのは、このコトだったのか…



