赤い月 肆


(良かった‥‥‥)


薫は気が抜けたように、板張りの本堂に仰向けに寝転がった。

これで後は…

うさぎが帯を締め直しながら、少し硬い声で薫に問う。


「景時は見つかったのか?」


そうだ。
次はあのバカだ。


「まだだ。
この辺りで見失ったらしい。」


飛び起きた薫は、携帯をうさぎに見せた。

液晶画面には、秋時から送られてきた位置情報が表示されている。


「…わかった。
妾はゆく。」


「俺も一緒に」


「えー? もう行くのん?
一杯くらい付き合うてやー。」


薫の言葉を完全に無視した白蛇が、着物の乱れを直し終わったうさぎに抱きついた。

ちっちゃいなー、可愛いなー、と繰り返しながら、うさぎの額や頬に口づけの雨を降らせる。

幼児を溺愛する母親デスカ。