「黒曜は複雑やろね。
姫の笑顔を奪ったんは人間やのに、姫に笑顔を戻したんも人間やなんて…」
「人間は…
俺らは、うさぎサマにいったいナニしたンだ?」
(そー言やコイツおったな。)
完全に追憶にトリップしていた白蛇は、目を瞬かせながら低く呻いた薫を見た。
出逢ったのは、真っ直ぐで澄んだ双眸。
こんな目をする人間もいる。
いつか、変わってしまうかも知れない。
いつか、濁ってしまうかも知れない。
愚かさと弱さ故に。
だが今のこの輝きを、彼女はもう一度信じようとしている。
だから、また人間と一緒にいるのだ。
なら…
(いらんコト言わんほうがエエわな。)
「あ、解呪終わったで。」
白蛇は薫の真摯な瞳から目を逸らし、蛇になっていた腕を彼の手から放した。



