「ヘーヘー、ソーデッカ。
天然タラシに惚れた景時くんは、苦労するやろなぁ。」
艶やかにウェーブする黒髪を指で耳にかけながら、白蛇は伏し目がちに薄く笑う。
同じ白く美しい花でも、うさぎが凛とした白百合なら彼女は酔芙蓉。
色づく様を見てみたいと、男に思わせる。
その悲しげな、苦々しげな微笑みにすら、仄かに色気を漂わせていて…
「姫はなぁ、ほんま可愛いエエコやったで。
関係ナイやんと思うようなコトでも、なんやいつも一生懸命でなぁ。
あのコが困った顔してたら、助けたらなアカン気になったし、あのコが笑ってたら、見てるコッチまで楽しなってん。」
「…」
「ウチらはみんな、姫が好きやった。
せやから、姫が笑わんなってしもた時は…
人間を恨んだで。」
まー、ウチは始めっから人間嫌いやケド、そう言ってドコか遠くを見る白蛇の目は、今にも雨を落としそうな雲の色。
『恨んでる』なんて言っておきながら、今にも泣き出しそうな悲しい色。



