「神殺し食らって生きてるとか、ほんま頑丈やね、このコ。」


モゴモゴしている蛇…ではなく、白蛇本体が暢気そうに言った。


「『神殺し』?」


「ああ、この呪のことや。」


青ざめて顔を顰めながらもチラリと視線を送った薫に、白蛇は苦笑いを返す。


「水とか鏡とか、姿が映るモンに特殊な呪を盛るやん?
そしたらソコに映ったヤツが、自分で自分を呪ったコトになってまうワケ。」


「え…
じゃ、うさぎサマに呪をかけたのって…」


「このコ自身ってコトやね。
コレやったら、明らかに自分より格上の相手でも呪えるやろ?
相手が勝手に自滅してくれるンやから。
せやから、神殺して言うねん。
…でもなぁ…」


白蛇が不思議そうに首を捻る。


「こんな使い古された手ぇに、このコが引っかかるワケあれへんねんケド…」


(あー…)


薫は少し俯いて、唇を噛んだ。