叱るように、励ますように、薫は捨てられた子犬と化した景時を見据えた。

しっかり、ね。
誰にも奪られたくないし、ね。

わかるよ。

でも…
どーしっかりすりゃイイの?

ナニも気にしてマセン、みたいに?

そんなんムリムリ。
スっっっゲェ気になるもん。

いっそ、感情剥き出しにしちゃう?

…や、ダメだろ。
またあんなコト…
もう、あんな辛そうなうさぎ、見たくねぇよ。

じゃ‥‥‥
うさぎをアイツに返す。

ごめん、言ってみたダケ。
この選択肢はナイ。

『行くな』って言えれば…

言えば…

うさぎは‥‥‥‥‥

しっかりしなきゃ。
なんかもーワケわかんねーケド。

しっかりしなきゃ。
とりあえず、出来るコトから…

とりあえず…

景時は決然と顔を上げた。


「とりあえず、捨てないで、薫ちゃん。キリッ」


「死ね。」