「ほな、キ○ンラガー。
500ml、6缶パックでエエで。」


「…ハイ?」


キリ○ラガーって… ビールの?
ジジィがお気に入りの、アレ?

そんなんでイイの?

命の代わりだよ?

俺の命、お手軽すぎて逆にショックだわ。


「あー…
ソレならたぶん、冷蔵庫に…」


「なんや、もう冷えてンの。
気ィ利くな。」


目を瞬かせる薫のすぐ前で、女は白い歯を見せて笑った。

今度こそ本当に、笑った。

そしてヒョイと身を起こし、案内もされてないのにサッサと本堂に上がり込む。

薫はうさぎを抱いて、慌てて後を追った。


「なぁ。
そんなんで、本当に助けてくれンの?」


「…
アンタの目ェ、嘘ついてなかったし。
マシな人間みたいやん?」


変わらぬ軽い口調だが、女の横顔は少し寂しそうに見える。

そう言えば蒼龍も、ヒトを良く思っていないようだった。

ヒトって…
そんなにロクデモナイの?