赤い月 肆


軽い口調の関西弁でも。
見た目フジコでも。

この女もやっぱり神だ。

薫は生唾を飲み込んだ。


「…
わかった。
俺の…命…」


顔を伏せると目に入る、青ざめていても尚、美しい人。


『そのような事はさせぬ』


(あ…)


「ちょっっっと、タンマ!
今の、ナシ!!」


「なんや、命惜しなったん?」


勢いよく顔を上げた薫を見て、女は蔑むように鼻を鳴らした。


「ああ、惜しい。」


バカにされても、ヘタレ扱いされても、コレは譲れない。

薫は神に懇願した。


「頼む。
今俺が死んだら、生涯自分を責め続けるバカが二人いるンだよ。
そんなコトはさせらンねぇ。
命は勘弁してくれ。
他ならイイぜ?
目? 腕? 足?」


「…ふぅん…」


女は身を屈め、薫の瞳を覗きこんだ。

いつの間にか彼女の目は、柔らかい赤やオレンジに輝いている。