赤い月 肆


手鏡の柄を握って、無意識に鏡面を覗こうとゆっくり手首を返していく。

景時の姿が、手鏡の中に‥‥‥


「見るな!!」


鋭い声と共に伸びてきたうさぎの白い手に、持っていた手鏡が叩き落とされた。

回転した拍子に一瞬うさぎを映したソレが、鈍色の霞を吐き出し…


「くっ」


床に落下し、破片を散らした。

なぜか崩れ落ちたうさぎがそれでも手を翳し、青い炎で鏡の残骸を焼き尽くす。


「え… うさ」


「触れるでない!!」


細い肩に伸ばした景時の手が、うさぎの声でピタリと止まる。

ナニが起こってンだ?

どーなってンだ?

は?
わかんねーフリか?

ほんとはわかってンだろ?

Yシャツから伸びるうさぎの四肢を這い回る、鈍色の梵字。

荒くなる息。

青ざめる肌。

震える指先。

誰の?

うさぎの?

俺の…?