景時はうさぎの視線を感じながらも、白いソファーで項垂れたまま動けずにいた。
「あの、深雪という娘を疑っておるのか?
景時も?」
もう激昂していない、静かな低い声。
疑ってる?
深雪さんを?
どうやってオニを連れて来たのかわからない。
オニを三体も飼い慣らす方法もわからない。
どうして深雪さんがそんなことが出来るのかも、サッパリわからない。
でも、あの場にいた。
いるはずのない彼女がいた。
そしておそらく無傷で逃げた。
その上、うさぎを良く思っていないだろう。
俺のせいで‥‥‥
「もしなにもかもが偶然でなかったとしたら、状況的にいって可能性があるのは…」
景時は言葉を切って、唇を歪めて笑った。
自分で言ってて、ウケる。
『もし』『状況的』『可能性』
曖昧すぎンだろ。
歯切れ悪すぎンだろ。



