オニは消えていた。

青い炎も消えていた。

扉は吹っ飛んでいるものの、ソコはいつもと変わらぬ体育館。

なのに…

薫は慌てて目を背けた。

祥子は口を大きく開けて硬直した。

小鞠は悲鳴を上げて両手で顔を覆った。

体育館の中央辺りに向かい合わせに立つ、景時とうさぎ。

景時がうさぎのブラウスの襟に手をかけ、その胸元を大きくはだけさせ、白く眩しい肩を露に…

祥子が地を蹴って駆け出した。

その勢いのまま…


「死ねぇ、変態ぃぃぃぃぃ!!」


「グハっっ」


景時の腰に、飛び蹴りを炸裂させた。

不意討ちを食らって床に転がった景時を憤然と見下ろした祥子が、うさぎを庇うように仁王立ちして腕を組む。


「真っ昼間っから学校でサカってンじゃねーゾ!!
このエロ杉が!!!」