『やっと電話出てくれた…
ねぇ、お願い… 寂しいの…』


「ね。
俺、深雪さんに聞きたいコト」


『今から、すぐ来て?』


「もう、そーゆーのはナシって言ったでショ?
それより今日」


『来てくれるなら、なんでも話す。
他にも、なんでもしてあげるから…
ね?』


「…」


仕事の後、深雪から景時に着信があった。

実は今夜だけではない。

ブルースの極意を極めたあの夜から頻繁に。

何度も何度も。

なるべく出ないようにして、メールで断っていた。

何度も何度も。

いい機会かもしれない。

もう本当に終わりにしよう。

携帯越しではなく、ちゃんと顔を見て、終わりにしよう。


「…行くよ。」


そして今、景時は通い慣れた深雪の部屋のインターホンを押した。