二人を放置して、二人の怒鳴り声をBGMにしながら片付けを終えてふと気がつく。


岬がいない。


あれ……さっきまで大和とケンカしてたんだけどな。


どこ行った?


仕方なく苛立っている大和に話しかけてみる。


「大和、岬は?」

「……知るか。
帰ったんじゃねぇの?」


カエッタ?

いやいやいや、まさか。

アイツはいつも最後まで大和と一緒に残って戸締まりとかやってくれてるし……

そんなわけ……


「あ、俺さっき岬先輩が帰るとこ見ましたよ」

「え!?」


後輩の発言に驚く俺。


本当に帰ったの、アイツ……。


……俺は後輩から視線をそらし、じとーっとした目で大和を見る。


「……何だよ」

「お前らな……部活中に何やってんだよ」


俺が呆れたようにそう言っても、大和は不機嫌そうな顔をしたまま何も答えなかった。

はぁー、とため息をつく。

本当に……手のかかる奴らだ。

鳴瀬先輩の苦労が今になってようやく分かる。


「とにかく……明日にはちゃんと仲直りしてこいよ」