振り返ると、大和と岬が向かい合うようにして立っていた。

だけど、いつものように仲睦まじい雰囲気ではなく……


「最低!バカ!ろくでなし!」

「誰がバカだと……?
バカって言った方がバカなんだからな!」


……何ともレベルの低い言い争いが行われていた。


「大体な!
お前はいつもいつも……!」

「そういう大和だって!
いつもどれだけあたしが……!!」


ギャーギャーと騒ぐ二人。


……珍しいな、あの二人がケンカなんて。

しかも結構マジっぽいし……。


「高瀬先輩と岬先輩がケンカかよ……」

「うわー、俺初めて見た」

「俺も俺も!」


……マズい。

これは後輩に悪影響だ。

早く止めなきゃ……。


「大和、みさ……」

「お前は昔っからそういうとこあるよな!」

「大和だって人のこと言えないじゃん!」

「俺はな、お前と違ってちゃんと……」

「バスケ以外何にもできないクセに!」

「何だと!!」


…………………。


……俺はそっと二人に背を向けて静かに離れていく。


「す、鈴山先輩?
止めるんじゃ……」

「ムリムリムリ。
俺だってこんなの初めて見たし、何か近寄れないオーラ出てるし……」


俺には荷が重すぎる……。