男は驚いたような顔で俺を見た。 「彼氏……?」 男はその表情のまま栞奈へと視線を移す。 栞奈が頷くと、男はショックを受けたような顔をしたまま固まった。 「そういうことだから。 ……これ以上近づくなよ」 俺が17年かけてやっと手に入れたものに、そう易々と近づけさせてたまるか。 「っ……分かったよ」 男は名残惜しそうに栞奈の方を見て、そして最後に俺を睨んでから走り去っていった。 「あ……行っちゃった」 「行っていいんだよ。 ……ほら、帰るぞ」 「……? うん」