校舎を出て、校門に向かって栞奈と二人で歩く。


「どこか寄って帰ろうよ」

「どこ?」

「んー……お腹空いたからファミレス!」

「一昨日も行かなかったか?」

「授業終わるとお腹空いちゃうんだよ」

「そのうち太るぞ」

「うっ……だ、大丈夫……多分」


自分のお腹を不安そうに触る栞奈を見ながら小さく笑う。

俺は太ってても痩せててもどっちでもいいけど。

栞奈は見た目がどうなっても栞奈だから。


「あの……岬さん!!」


突然後ろから名前を呼ばれ、栞奈は振り返った。

すると、そこにいたのは知らない男だった。


「えっと………」


誰だか思い出せないのか、栞奈は少し困った顔で悩み始めた。

だけど……


「あの、これ……」


その男が差し出してきた物を見て、栞奈はピンと閃いたように男の顔を見た。