「大和」


その時、聞き慣れた愛らしい声が聞こえてきて、俺は顔を上げた。


「終わったのか?」

「うん」


小さい頃と何も変わらない栞奈の笑顔。

そんな栞奈を見て俺も思わず笑みがこぼれる。


「あーあー……すっかりデレちゃって」

「デレてねぇよ」

「栞奈ちゃん!
大和なんかやめて俺にしない?」

「おい」


何言ってんだよ、バカ。

栞奈はにっこり笑ってそんな言葉をかわす。


高校を卒業して大学に入った俺。

栞奈と同じなのは本当に偶然だ。

たまたま志望校が同じで二人とも受かって入学した。


「帰るか」

「うん!」