俺が何も言えずに固まってると、優太が笑顔で俺に話しかけた。


「ごめんな、黙ってて。
でも、カズを驚かせてやりたくて」

「優太……」

「でも、暁弥と栞奈から和也が落ち込んでたって聞いてビックリしたわよ。
……ウソついて、ごめんなさいね」

「楓……」

「俺達、本当は今日が何の日かちゃんと知ってましたよ」

「大和……」

「毎年祝ってたのに、今年だけ忘れるわけないじゃないっすか」

「アッキー……」

「杉崎先輩が好きって言ってたグラタン、作ってみました」


栞奈に言われてテーブルの上を見ると、おいしそうなグラタンが香ばしいチーズの香りをさせながら置かれていた、


「っ……栞奈ー!!」


俺は感激しすぎて栞奈に抱きついた。


「先輩!?」

「大好きだよ、栞奈ー!!」


今日、楓が持っていた袋の中はパーティーグッズで……アッキーが買ってた大量のお菓子はパーティー用で……栞奈が買ってたのは料理の材料。

全部……全部、俺のため。


「カズ、その辺にしとけ。
大和が……」


優太に言われて大和を見る。

いつもなら俺が栞奈に抱きつくとすぐに止める大和だけど、今日は我慢していた。

そんな後輩が可愛くて、俺は大和にも飛びつく。


「大和ー!!」

「うおっ……ちょっ……離してくださいよ!」

「俺、みんなのこと大好きだよー!!」


忘れてるなんて思ってごめんね。

みんな……俺のために、これ全部準備してくれてたんだね。


「よーし!!
今日は朝まで盛り上がるぞー!!」

「えっ……俺ら、明日学校が……」

「そんなこと言わないの、アッキー!!
ほらほら、早くご飯食べないと冷めちゃうよー!!」


俺はテーブルに並ぶおいしそうな料理の元へ飛んでいった。


「電話で元気ないと思ってたけど……よかった。
カズが元に戻って」

「いや……あれは元気ありすぎじゃないですか?」

「あら。
妙にテンション低いよりは全然いいじゃない。
ね?暁弥」

「そう……なんですかね?」

「でも、やっぱり杉崎先輩が笑顔が一番だね」


後ろでみんながそんなことを話してるとは知らず、俺は料理にがっついた。


うん!!全部おいしい!!


大学一年生の誕生日。

中学を卒業して四年が経つけど……

まだまだみんなとの絆があると実感した……大事な日。


「おかわり!!」


―FIN―