……その時だった。
俺のケータイが聞きなれたメロディを奏で始めた。
「……もしもーし」
《あ、カズ?
今どこにいる?》
「優太?
……今は公園だけどー」
《じゃあ、今から家来れるか?》
「家?
だって優太、レポート書かなきゃいけないんじゃないのー……?」
《あぁ……それはもう終わったから。
……それよりお前、テンション低くないか?》
「……そんなことないよ」
俺がそう言うと、優太は電話口の向こうで小さく笑った。
《待ってるからな。
なるべく早く来いよ》
「……うん、分かったー」
俺は電話を切って立ち上がった。
……行こうかな。
優太の家に。
俺は少しオレンジ色になりかけた空を見ながらゆっくり歩き始めた。

