披露宴が始まり、式のときはガチガチに緊張していたイツがかなりリラックスした表情で出てきた。
俺達四人は同じテーブルに座ってそんなイツと松山を見ていた。
「では、ここで新郎新婦の共通のご友人である浦山陽斗様よりお祝いのお言葉を頂きたいと思います」
ここで陽斗の出番。
イツと松山が期待に満ちた目で陽斗を見る。
松山の友達と思われる若い女達が陽斗を見て少し色めきだった。
まぁ……カッコイイからな、アイツ。
陽斗は練習した甲斐があったのか、順調にスラスラと喋っていく。
……イツと陽斗。
お調子者のイツ。
優しい陽斗。
高校の時から……いろんなアイツらを見てきた。
嬉しそうな顔。怒った顔。
……辛そうな顔。
でも、それは俺だけが見ていたんじゃなくて……
……アイツらも俺のことを見てくれていた。
……何で俺はあんなに寂しさを感じていたんだろう。
結婚したからって、アイツら自身が変わるわけじゃないのに。
……さっきまでの自分がアホみたいに思えてきた。
多分、イツはお調子者すぎて松山に怒られて俺に泣きついてくるだろう。
陽斗は優しさ故に何かしら溜め込んで、それを吐き出しに俺のところまでくるだろう。
結局、またアイツらに手を焼かされるわけだ。
本当に……何も変わらない。

