「めでたいとは思ってるよ。
あのイツが結婚して。
陽斗もやっと伊沢と結ばれて。
……けど、何か自分の中でモヤモヤしてるっていうかさ……」
「寂しいのね。
親友二人が一気に結婚していって」
「……アイツらが幸せになって、嬉しいはずなんだけどな」
俺は自嘲気味に小さく笑った。
「風見、あの二人の幸せをずっと考えてきたんでしょ」
「え?」
「大崎と香織が上手くいくか心配で。
浦山と七海がどうなっていくのか見ていられなくて。
アンタ、何だかんだ言ってあの二人のお兄ちゃんみたいだったものね」
お兄ちゃん……か。
……そうかもな。
「けど……あの二人の幸せを願ってたはずなのに、実際にそうなると寂しくなって……。
俺、イツと陽斗が手のかかる奴らだなって思ってたけど……案外、一番手がかかるのって俺なのかもな」
俺がしんみりとした口調で言うと、篠山はクスッと小さく笑った。

