次の日。

朝、俺が昇降口で靴を脱いでいると声をかけられた。


「鈴山」


振り返ると、そこにいたのは昨日の男……高瀬だった。


「おはよ」


高瀬は軽く片手を上げて挨拶をすると、まっすぐ自分の下駄箱に向かって靴を履き替え始めた。


…………ん?


……高瀬のカバンから可愛らしいキーホルダーがはみ出していた。

そして少しだけ覗いてるアレは……ケータイ?


アイツ……ああいう趣味が……。


「……何?」


あまりにじっと見すぎていたのか、高瀬が不審そうな目でこっちを見ていた。


「あ……いや。
それ……お前の?」

「それ?
あぁ……これね」


高瀬は小さく笑うとカバンからケータイを引っ張り出した。


「俺のじゃなくて、幼なじみの」

「幼なじみ?」

「ほら、昨日もいただろ?
あのちっちゃいの」

「あぁ、あれか」


幼なじみだったのか。

彼女だと思ってた。