俺と同級生だというそいつはバスケが上手かった。

先輩達も驚いていた。

だけどそいつは、そのことを鼻にかけたりはしなかった。

むしろ、もっと上を目指してるように見えた。

……何か目標でもあるのか。

そいつはすごく一生懸命だった。

そして……すごく楽しそうだった。


他とは違う何かを感じた。


……初めての仮入部が終わって俺が制服に着替えてるとき、そいつは俺に話しかけてきた。


「なぁ、名前何ていうの?」

「え?あぁ……。
鈴山蓮」

「鈴山か……。
俺は高瀬大和。
よろしくな」


たったそれだけしか言葉を交わさなかった。

そいつはパパッと手早く着替えると、すぐに出ていった。

外からチラッとだけあの小さい女子の声が聞こえた。


高瀬大和。

バスケが上手いこと以外は普通の男だったのに、なぜか少し気になった。