どうしたんだろう……。 さっきまで無我夢中でバスケをやってたのに。 不思議に思いながらボールを見ると、右側にペンで書いたような線があった。 慌ててあたしはボールを回転させる。 そこには……… 「栞奈がずっと不服そうにこっち見てたから」 アキ君の声がすぐ近くで聞こえる。 顔を上げると、二人がいつの間にかあたしの前に立っていた。 「こんなの……ズルい」 ボールを抱きしめたままあたしは呟く。 あたし……涙脆いんだから。 すぐ涙出ちゃうんだから……。