「そんなんで家出なんてされたら、大和も困るだろ。
アイツ、絶対心配してるって」
呆れた声でそう言う。
今回は岬が悪いな。
そう思って早く家に帰そうとする。
大和、今頃近所探し回ってるんじゃねぇの?
焦った顔で岬を探す大和をぼんやりと頭に思い浮かべる。
「じゃあ……あたし、どうしたらいいの……?」
震えた岬の声。
収まったはずの涙がまた落ちそうになっている。
「は……?」
何で?
何で泣く?
俺の言い方がキツかった?
全面的に大和の味方をしたから?
いや、でもいつもの岬なら少しは元気よく言い返してくるはず……。
困惑する俺とは対照的に、岬の様子を見ていた梨子が何かを思いついたように目を大きく見開く。
「栞奈ちゃん、もしかして……」

