「……よし。
じゃあ、何があったか一から話してみろ」
ようやく泣き止んだ岬。
そんな岬から詳しいことを聞こうとした。
「……昨日」
「うん」
「テレビ見ながらね、大和が言ったの。
子供はまだしばらくはいいよねって」
「あぁ……まぁ、お前らまだ婚約したばかりだしな」
「…………………」
「……え、もしかしてそれが原因?」
もっと大きな原因があると思ってたのに。
意外にあっさりとしたケンカ理由に俺は唖然とする。
「そんで……家出てきたの?」
「………………」
「そんなのさ、当然っていえば当然なんじゃねぇの?
婚約したばかりなんだし。
まだそこまで考えられないんだろ、大和も」
「当然……?」
岬がゆっくりと顔を上げて俺を見る。
「しばらくは二人の時間楽しみたいってことだろ。
別にいいじゃん、いらないとは言われてないんだし」
そんなに大した問題じゃない。
そう言わんばかりの俺の発言に岬はなぜか体を強張らせる。

