また……今年も言えなかった。
あれだけ悩んだのに、結局……
「……幼なじみ、ね」
心なしか大和が少しガッカリしているように見えた。
「これで大和、最下位にならずに済むね!」
「最下位?
………え、何……蓮から聞いたの?」
「うん」
「マジか……アイツ、どこまで話したんだ……」
あとでシメる、とボソッと大和が呟いたのが聞こえた。
「けど……勝負してるなら、何で他の貰わなかったの?」
あたしが疑問に思ったことを素直に聞いてみれば……大和はあたしの顔を見て優しく笑った。
「……いいんだよ、これで」
「え?」
「……俺はこの一個だけで十分だから」
そう言う大和の顔はすごくうれしそうで……でも、あたしには大和の言ってる意味がよくわからなくて、首を傾げた。
そんなあたしを見て大和は小さく笑いながら、カバンを肩にかけ直した。
「ほら、早く帰る準備てこい」
「え?」
「置いて帰るぞー」
「あ、す、すぐ準備する!」
そう言って、あたしは女子更衣室にある荷物を取りに行こうと部室のドアを開けた。
……すると、ドアを開けたすぐそこに見覚えのある人物が数人立っていた。
「あれ……先輩達?」

