ガラガラッ、と音をたてて体育館の扉を開けた。

すると、ビックリしたように二人がこっちを向いた。


「れ、蓮ちゃん!?」

「早いな、お前……」


そんな二人へツカツカと近寄っていく。


「早いのはお前らだろ。
つーか、ケンカはどうしたんだよ」

「あぁ、あれな。
何か解決した」

「解決って……」


まぁ……いいや。

コイツらが笑顔でいてくれれば、それで。


「蓮ちゃん……今の話、聞いてた?」

「話って?」

「あ、う、ううん!
聞いてないならいいの!」


本当はバッチリ聞いてたけど、聞かなかったことにしておこう。

ホッと胸を撫で下ろしてる岬を見ながらそんなことを思う。


「あれ……そういや岬、髪切った?」

「え、分かる!?
昨日切ったんだよ!
大和は気付いてくれなかったけど」

「だってあんまり変わってねぇじゃん」

「変わったもん……」


ぷくっと膨れる岬を見ながら笑う大和。


そんな二人を見ながら思う。


今年こそは……インハイ出場決めてやる。


……今年が最後だから。


コイツらとバスケができるのは……


夢を叶えられるのは……最後だから。


いくらコイツらに振り回されようと、迷惑かけられようと……


最後まで仲間として戦い抜いてやる。


「蓮、みんなが来るまで1on1やろうぜ」

「おう!」


インターハイ予選まで……あと数週間の、とある日の出来事――



―おわり―