実織様の差し出したものを目にして、

暁弘様の息をのむ音が聴こえた様に、
感じた。




実織様が両腕で差し出す、
そこには、


黒いジャケットと

白い花。



大切そうに実織様の両腕にかけられた黒いジャケットの上に、
白い花。


けれど、

遠目にも、
その二つが普通ではない事がわかる。



黒いジャケットは、
破れほつれ、
所々、
より深い色に染まっていた。


白い花は、
幾つか花びらが散り、
所々、
紅く染まっていた。




その、
黒いジャケットには、

見覚えが、ある。



その白い花には、

見覚えが、ある。