実織様は、 現れた扉からその一点だけを見つめ、 歩みを進める。 ザワついていた会場が、 その歩みに、 一気に静まり返る。 ひどく痛んだドレスとは対照的に、 凛とした表情で颯爽と歩く姿。 周りには眼もくれず、 その人の前で歩みを止める。 カツンーー 静まり返った会場に、 彼女の立ち止まったヒールの音が、 響いた。