冷たい雨に咲く紅い花【後篇ーside実織ー】

甘い煙草の香りのする
黒いジャケット。



抱きしめて、
眼を閉じると、

不敵に微笑む紘夜の姿が、浮かぶ。


こんなにも、
はっきりと……





でも、

抱きしめる
この両腕に紘夜はいない。


甘い煙草の香りと、
血の匂いが、


混ざり合う。




血の色が、
黒いジャケットに赤黒い染みを幾つも作り、

溢れる私の涙が、

更に染みを広げた。