冷たい雨に咲く紅い花【後篇ーside実織ー】

「紘夜!紘夜――!」


私は、声の限り名を呼ぶ。




「紘夜ッ、紘夜!」

足がもつれてよろけ、
ビルの薄汚れた壁にぶつかりながら、
名を叫んだ。



「実織!」

私を守るように掴まえるジュン兄の手を振りほどき、
構わず名を呼び続けた。



「紘夜……紘夜――!」


どこ!?

どこなの!?



「紘夜!紘――」


彷徨う視線の先、


狭い、
狭い路地の奥、



見慣れた黒いジャケットが、




私の視線を捕らえた。