冷たい雨に咲く紅い花【後篇ーside実織ー】

通ってきた細い路地裏。

まだ昼間だと言うのに、
薄暗くて、よく見えなかった。


けど、



「ーーッ」


視界に捕らえた〝そのモノ〟に息をのんだ。


「止めて!車、止めて!」

叫んで、運転席を振り返った。


「ダメだ。早くウチに行こう」

車を止めない吉水さんの淡々とした声が答える。


だったら、


ガラッーー、

思いきり後部の車のドアを開けると、


「実織ちゃん!」

やっと車が減速した。


「止めて!でないと、このまま飛び降りるから!」

言い終わると同時に、
車が止まった。

瞬間、


私は飛び降りるように車から出て、
走り出した。


体の痛みも忘れて、


走った。