冷たい雨に咲く紅い花【後篇ーside実織ー】



「――ッ!」

少し車が走った所で、
吉水さんが息を飲む気配がした。


「どうしたんですか?」

倒した後部座席に夕綺さんと並んで横になっていた私は、
その変化に少し体を起こした。


「……いや、……なんでもない」

車を止める事なく、
答える吉水さん。


「どうした?実織」

助手席のジュン兄は気付かなかったようで、
私の声で吉水さんと私を交互に見た。


「吉水さん、どうしたんですか?
なにか、あったんですか?」

私は運転席の後ろに体を動かし、
吉水さんに問いかけた。


「なんでもないよ」

「でも、」

でも、
でも、なんか…


気になって、
思わず後ろを振り返った。