冷たい雨に咲く紅い花【後篇ーside実織ー】


「紘は大丈夫だよ」


私の不安を見通したかのように、
夕綺さんを抱えて前を歩いていた吉水さんが、

少し私に振り返って微笑んだ。



「あいつは今まで幾つも修羅場をくぐり抜けてる。そして、その度に強くなっていた。
紘は、大丈夫」


前の方に黒いワゴン車が見えて、
歩調を速めながらも吉水さんは淡々と話す。



「それに、今はもっと強い。絶対に負けられない理由が今はあるからね」


「絶対に、負けられない…理由?」