「紘は大丈夫だよ」 私の不安を見通したかのように、 夕綺さんを抱えて前を歩いていた吉水さんが、 少し私に振り返って微笑んだ。 「あいつは今まで幾つも修羅場をくぐり抜けてる。そして、その度に強くなっていた。 紘は、大丈夫」 前の方に黒いワゴン車が見えて、 歩調を速めながらも吉水さんは淡々と話す。 「それに、今はもっと強い。絶対に負けられない理由が今はあるからね」 「絶対に、負けられない…理由?」