「夕綺…さん…ヒック、ぅく…夕綺さん」


情けないくらいの溢れる涙で、
情けないくらいの弱い心で、

声さえもうまく出なくなっていく。



よぎる紘夜の背中を

よぎる甘い煙草の香りを


消し去るように、


「夕綺さんっ、夕綺さん、目あけて!」

「…はっ、ぁ…」





怖くて、
怖くて、


泣きながら夕綺さんの名を呼び続けた。



夕綺さんを、助けて。

誰か、
誰か、


たすけて。





紘夜を



助けて





タスケテ