白く濁ったような視界の中で、
雫と血の紅い色が滲む様子をぼんやりと眺めていると、


「ーー織っ、実織!」


馴染みのある声がして、
ハッとなった。


「おい、大丈夫か?ケガは?
どこが痛い?」


優しく、
心配する、声。



「……ジュン、兄……」


見上げた、その優しい声の人の名を呼ぶと、

また、


雫が流れ落ちた。



声で分かったはずなのに、

見上げた先に、
紘夜がいなくて、


また大きな雫が零れた。