嫌な予感と不安ばかりが募って、 気は急いたが、 バイクのエンジンを吹かし、 走り出すと、 よぎる、吉水さんの言葉。 ケータイを切る直前、 『くれぐれも気をつけて来るんだよ。 急いだばかりに、君に何かあったら、 実織ちゃんを哀しませるだけだから』 淡々と話していた口調に、少し厳しさを込めた声で、 吉水さんは、そう言って、 『気をつけて』 さらにそう一言付け加えて、 電話を切った。