優しい手

今じゃ普通に一緒に
帰るようになって…

「なぁーりな?」

一緒に帰ってる時、
悠哉がふいにあたしを
呼んだんだ。


『ん?どうしー…ん!?』


振り返った途端…

あたしの唇に悠哉の
唇が重なった。


ファーストキス!?


悠哉とも初めてのキス
だったけど、そもそも
あたしは、生まれて
一度も、キスなんか
したことなくて…


これが本当に

*―ファーストキス―*

だった。


隙間から悠哉の熱い舌
が入ってくる…

『…んっー…っ…』

くっ苦しいよー←


あたしが苦しそうに
してるのが伝わった
のか、悠哉は唇をそっ
と離した。


「…ごめっ…つい…
りなが可愛くて…」

悠哉が顔を赤く染めな
がら俯いた。



嬉しかった。
あたしたち…付き合い
始めてけっこうする…

なのに
手…つなぐだけで。


とにかく大好きな悠哉
とキスできて嬉しかった。


思わずまたまた嬉し泣き。


「ごめん。嫌だった?」

悠哉は心配そうに、
あたしの涙を優しく
拭いながら聞いてきた。

『ちがっうの…
嬉しかっ…たの☆』


悠哉はそっとあたしを
抱き締めた。


そして、ずっとあたし
の頭を優しくなでて
くれていた。


ホッとする…
悠哉の手…


大きくて

あったかくて

しっかりしてて

優しくて…

それから悠哉はあたし
をいつも通りあたしん
ちに送ってくれた。


『今日もありがと!
じゃぁまたねっ*』

「おぉ!またな!」


あたしは家に入ろうとした。

そしたら、悠哉の手が
あたしの腕を掴んだ。


「りな?」

『ん?ー…んっ…』


振り返った途端にキス…

さっきより愛のこもっ
たキスっていうか、ほ
んとに優しいキスだった。


「じゃぁな?愛してる!」

『うん…あたしも悠哉
のこと愛してる!*』


笑顔で手をふって、
悠哉は帰っていった。


あたし幸せだよっ
こんな幸せ初めて…


初めての進歩にあたし
の気持ちは跳ね上がった。